ブラッディ アリス
「…これを見られたら…マズイよなぁ…」
厨房に入るなり、ため息をつくカイル。
床には数人の料理人とメイドの死体。
実はアリスがベルアベスタ侯爵と別室で話し合ってる間…ラビは厨房に押し入り、そこにいた全員を手にかけてしまっていたのだ。
カイルは台の上に置いてあるラビが切ったリンゴを持つと、急いでキオネの元に戻った。
「…キオネ…これ…」
俯くキオネの目の前に、カイルはリンゴがのった皿を置く。
「…リ…ンゴ…?」
キオネはそれをじっと見つめた後、カイルを見上げた。
「キオネはリンゴが好きだって聞いたから、最高級のを…ラビに買ってきてもらったんだ。…ぜひ食べて?」
優しく微笑む、王子。
「あ…ありがとうございますわ…」
顔を赤らめる、白雪姫。
シャク…。
キオネの小さく愛らしい口が、綺麗に剥かれたリンゴを齧る。
「おいしい…」
「…でしょ?」
…ガタンッ…!