ブラッディ アリス
「!?」
「……カイル王子……」
物音がした方を振り向くと、そこには髪を乱し青ざめたベルアベスタ侯爵が立っていた。
「私の愛娘に近づくな…」
侯爵の手には、斧。
「お父様…?!」
キオネが慌てて席を立ち、侯爵の元へと走り出す。
「キオネ!行くな!」
カイルのその一言に、足を止めるキオネ…。
「…殺してやる…王子…」
正気を失った侯爵の瞳が、真っ直ぐにカイルを見つめる。
「…お父様…」
キオネは恐る恐る侯爵に近づき、斧を凝視している。
「…キオネ…アリスはちゃんと殺したのか…?」
「!」
自分の横に立つキオネに目線を向ける侯爵。
キオネの心臓の鼓動がバクバクと速くうなり始める。
「な…何をおっしゃっているの…?お父様…。私が…アリスを…殺すなんて…」
「どういうこと?キオネ」
カイルは一瞬ニヤリと笑って、キオネに問いかける。
その間にも、侯爵の足は少しずつ…カイルに近づいていく。