ブラッディ アリス
「…ち…違いますわ…カイル…。そんなこと…私…」
キオネの口の中に、今食べたリンゴの味が広がる。
それと同時に、目の前が霞んでいく…。
目線をカイルへと戻した侯爵は、険しい顔で睨みつける。
「…う…うわぁぁぁぁああ!!!!!!」
斧を振り上げ、カイルに迫っていく侯爵。
「…やめて!!お父様…!!」
…バンッ…!!
…一瞬の銃声…。
目の前で倒れ行く侯爵の体…。
「……お…お父…さ…ま…」
真っ白な手に握られた拳銃。
見開く大きな瞳。
視界に映る、冷めた目をした一人の王子…。