愛しすぎて。短編集
「…以上で会議を終了する。お疲れっ」
顧問のその言葉で会議が終わる。
「お疲れ様でした。」
と声を合わせる律季と俺。
そして顧問は部室から出ていった。
がたがたと椅子を片付けてから自分の荷物を抱える。
「じゃあお先に。」
と声を掛けて帰ろうとする俺に
「待って」
と律季が呼び止めた。
さっきの律季といい今日の律季はいつもと違って戸惑いを隠せずに、
「…どした」
とおそるおそる尋ねる。
すると律季は普通ににこにこしながら
「一緒に帰ろうよ」
と言った。
突然の言葉に驚いたが、すごく嬉しかった。
だって一緒に帰るとか久しぶりだよ。
付き合ってた時だってあんま一緒には帰れなかったからなぁ。
「おう。」
と俺は少し照れながら答えて、二人ならんで一緒に歩き出す。
蘇る記憶-----
俺たちは付き合ってたんだ。
「簡単だね。」
昔の記憶に入り込もうとした俺を律季が遮った。
「何が」
『簡単』の言葉の指すべき意味がわからないんだけど
促す俺に
「付き合ってないと一緒に帰るのも簡単だね。隠れる必要もないし。」
…なんで
なんでそういう事
笑って言えんだよ…