愛しすぎて。短編集

それから俺たちは二人とも黙ったままただ歩き続けた。


でも人気のない電灯の下に着いた時、俺は我慢できなくなって口を開く。



「さっきの事だけど…付き合わなかったらよかったってそう言いたかったのか」



「違うよっ。そういう意味じゃなくて…」


律季は言葉をつまらせてそのまま俯いた。



「…お前がどう思ってんのか知らねぇけどあん時俺らはお互いがお互いを想って隠れてでも付き合いたかったから付き合ったんだ。
そん時の気持ちを汚すような事笑って言うなよ。」


俺が言葉を放ち終わると律季は真直ぐ俺を見て



「そっちこそ過去の話みたくきやすく話さないでよ。
その時から変わったのはそっちでしょ
私はその時と何も変わってないんだから」


と力強く言葉をぶつけた。



「…どういう意味だよ」



「付き合ってた…て過去にしたのは恭平でしょ」



「だってそれは俺がキャプテンに…」



「わかってるわかってるけど…
私が今でも勝手に好きなだけだから。
…もうこの話はやめようよ。」



「勝手に終わらすなよ。」


再び歩き始める律季の腕を掴んだ。

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