愛しすぎて。短編集
『だってさ斉藤呼び出しされてんのしょっちゅうだろ
んで俺呼び出す前から色んな奴に聞いたけど、皆断られてるの知ってたからさ。
斉藤実は彼氏いるんじゃないかって噂があってさ。
ほんとのとこどうなの
フラれついでに聞かせてよ』
『彼氏なんていないよ
びっくりするなぁ(笑)
そんな噂があるのも初めて聞いたし…』
『じゃあ何で断りまくってんの
超モテる奴だって考える間もなくばっさりだろ』
それは…
『…だって私ずっと好きな人いるからさ。』
『はっまぢで
誰だよそいつ
てか斉藤だったらいけるだろ。
何でゆわね-の』
ぐっと距離を縮め身を乗り出して聞いてくるのに少し後退りをしてしまう。
どうしよう…
言ってしまおうかどうか
試合は終わりキャプテンの仕事も終わったし問題はない…けど
『誰だよ
お願い教えて』
もういいや
『誰にも言わないでよ
…嶋村恭平…』
うつむき加減でついに私は言葉に発した。