愛しすぎて。短編集
亜由紗が俺の知らない男と楽しそうに歩いているのを
見に行ったわけじゃない。
「誰だよ………そいつ――。」
込み上げる怒りと不安で
俺が今潰れそうになっているのを
亜由紗はわかっていないんだね……。
そしてもう帰ろうと引き返そうとした時
亜由紗が………
キス
されていた――――。
何が起こったのか
理解できない。
どうして
どうして
不意にされたんだとは思うけど
なぜ突き離さないの
止めてって叫ばなかったの
俺は数十㍍離れたこの距離まで聞こえるほど
止めてって
私には彼氏がいるからって
言って欲しかった………。