心から…私を見て。
信貴お兄ちゃんと頼貴お兄ちゃんは、同い年の兄弟。
跡取りとして躾られて来たのは勿論、長男の信貴お兄ちゃん。
頼貴お兄ちゃんは、何故か秘書にならなきゃいけなかった…
それが決まったのは、私が生まれたとき。
高校生になった信貴お兄ちゃんは…
私を婚約者にしてくれないなら跡取りにならないと言い出した。
跡取りは信貴お兄ちゃんとしか考えてなかった親は、パニックになった。
そして、私が小学5年生のとき…
結局どうするかは決まらず、親は死んだ。
葬式をしたときに知ったけど、私達の親戚は数少なかった。
そんな数少ない親戚が、
「信貴くんのせいで死んだんだ…」
「そうよ、あの子がいなければ…」
と話していたのを聞いてしまった。
でも親戚たちは、そのときの信貴お兄ちゃんの姿を見て言ったんだと思う。
高校生だったのにもかかわらず、シルバーの髪。
耳にはピアス。
チャラチャラした着こなしをした、服。
そして極めつけは、睨むかのような冷たい目。