NARUMI-なるみ-
第一の人生
「できちゃったもんはしょうがないじゃん!!」

夜の11時すぎ

福岡成実は
今日もまた
姉の明日香と母親の喧嘩で
目が覚めた

「…」

 できちゃった?
 しょうがない?

成実は
起き上がって
耳をすました

明日香と母親の喧嘩は
いつものことだが

できちゃったとか
しょうがないとか

母親の
悲鳴に近い泣き叫びは
久しぶりだった

[パァン!!]

 …殴ったな

成実は
もう、これくらいのことでは
驚かなくなっていた

 できちゃったって
 子供だよなぁ…

こんな話も
初めてではなかったし

正直

いい加減にしろと
嫌気がさした


姉の明日香は
中学2年
成実の3つ上だ

彼氏は多分、いない

明日香は
ほとんど家に帰ってこないが
なんとなく
そう思っていた

[バンッ!!ドンッ!!]

[…?]

「あああああっ!!」

[ドダダダダッ…]

「…っ?」

物凄い音がした

成実は
恐る恐るドアを開けて
顔を覗かせた

「!!!」

「ハァ…ハァ…ハァ…」

鬼のような形相の母親が
階段の下を見下ろしている

「?」

成実は
階段の下を見て
息をのんだ

「うっ…ううっ…痛い…痛いよぉ…助けて…」

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