ホンモノノキミ
ぽけっとしていると智美が面白そうな顔をする。
「で、どうなの?」
「え、何が?」
「と・し・し・たの彼氏は」
「っ…だから違うって!!智美が思ってるような関係じゃないんだってば」
頬を真っ赤に染めながら否定する実帆にはぁと溜息をつく智美。
「実帆、その顔じゃいくら否定したって「そうです」って言ってるのと同じだよ」
「っ……」
「あたしさ、ずっと高校に入ってから実帆の顔見てるけど今まで真っ赤に頬染めたり、やけにムキになったりしてる実帆、見た事ないよ」
いつもエヘヘって笑っている智美が真剣な顔で聞いてくるから、智美の喋る一つ一つの言葉が胸に染みこんでくる。
「実帆さぁ、前に海先輩の笑った顔が作りものみたいでヤダって言ってたじゃん?」
「……うん」
「でも、あの年下君は違うんじゃないの?」
「……え」
智美の言ったことに、何かが疼く。
「海先輩と同じだったら、早く突き放してる筈でしょ?今頃、毎日1人で歩いて学校に来て、1人で帰ってたわけでしょ」
「……」
「でも、今も一緒に来て、帰ってる」