ホンモノノキミ
4
室井君のことをずっと考えてたら、いつの間にか学校は終わっていた。
どうやら、智美も既に帰っちゃったみたい。
「はぁ……、何か変なの」
こんなに誰かのことで考えた事なんてなかったから
しかも、年下の中学生の事で
とぼとぼと、遅めの下校をする。
外を出れば夕焼けは見えず、暗闇だった。
「わ…こんなに暗いの?!」
さすがに、考えすぎたと思った。
室井君、帰っちゃったよね……
淡い気持ちを抱いて、ひょこっと門のところを覗くもやっぱり、そこに人の姿はなかった。
「だーよね…」
あれ…何かズキッてする。
何だか胸の辺りが熱くて、痛くて、強く握り締める。
頭をブンブンと振って、気晴らしにコンビニで雑誌を買って帰ることにした。
帰り道の途中にあるコンビニに立ち寄る。
「あ…。」
目の前まで来て、もの凄く後悔した。
コンビニの入り口付近に立っている男の人。
学校のアイドル(だった)板倉先輩。
あたしが気付いた瞬間、あっちもあたしの事に気付く。