ホンモノノキミ



「ひっ…や、っ」


「実帆先輩っ…!!」




ハッと顔を上げると、コンビニの駐車場の入り口にパーカーとジーパンのラフな格好をした室井君が立っていた。


その顔は、眉を潜めていて海先輩を真っ直ぐと睨んでいた。




室井君……




「海兄、実帆先輩から手を離せ」


「言われなくても離すから、そんな怖い顔すんなっての」


「か、海兄…??」




室井君と板倉先輩の喋り方が、何ていうか…


親密な気がするのは気のせい…




「じゃないよ」


「えっ?!」


「ごめん。実帆先輩、考えてる事全部声に出しちゃってたから」




眉を垂らしながら笑う、いつのまにか目の前にいた室井君にホッとする。




ん…?




「え…あれ?でも板倉先輩と室井君って名字違うよね…?」


「従弟だからね」


「触るな、馬鹿」


「あ゛ぁ?馬鹿だと?」




笑いながら、室井君の頭を撫でた板倉先輩がキレた口調になる。



< 19 / 25 >

この作品をシェア

pagetop