ホンモノノキミ
「ひっ…や、っ」
「実帆先輩っ…!!」
ハッと顔を上げると、コンビニの駐車場の入り口にパーカーとジーパンのラフな格好をした室井君が立っていた。
その顔は、眉を潜めていて海先輩を真っ直ぐと睨んでいた。
室井君……
「海兄、実帆先輩から手を離せ」
「言われなくても離すから、そんな怖い顔すんなっての」
「か、海兄…??」
室井君と板倉先輩の喋り方が、何ていうか…
親密な気がするのは気のせい…
「じゃないよ」
「えっ?!」
「ごめん。実帆先輩、考えてる事全部声に出しちゃってたから」
眉を垂らしながら笑う、いつのまにか目の前にいた室井君にホッとする。
ん…?
「え…あれ?でも板倉先輩と室井君って名字違うよね…?」
「従弟だからね」
「触るな、馬鹿」
「あ゛ぁ?馬鹿だと?」
笑いながら、室井君の頭を撫でた板倉先輩がキレた口調になる。