ホンモノノキミ
「てめぇ、誰が実帆ちゃんの住所教えてやったと思ってんだっ?!」
「っ!!ちょっ、海兄っ…」
「あたしの住所…」
室井君は板倉先輩の口を慌てて塞ぐも遅し。
あたしの住所、…教えてやった?
頭の中で言葉の意味を整理すること一分…
「えっ…じゃぁ板倉先輩に聞いて、あたしの家に来たの?!」
「……まぁ」
「まぁって…ていうか何で板倉先輩があたしの住所知ってるんですか?!」
「生徒会だったから、生徒の名簿くらいちょろいもんよ」
「…信じられない…こんな人のためにあんなに泣いた智美が可哀想…」
本当に智美を憐れみたくなった。
板倉先輩はそんなあたしを見てクツクツと笑う。
「いや…でも、まさかこんな上手くいくなんてっ…」
「何が…?」
笑っている板倉先輩からあたしを背中に回し睨む室井君。
「お前が珍しく女の住所聞いてくるから、予想で実帆ちゃんに絡んで見たら、これだからさ」
「っ……」
板倉先輩の言葉にトクンと胸が高鳴る。