ホンモノノキミ
おまけ
桜も舞い散った並木道。
涼しい風を切って、自転車でキミの後ろにいるのが当たり前になってきた此の頃。
並木道を見れば思い出す。
「そういえば、ここってあたしとむろ「陸って言ってんでしょ」
「はい。ごめんなさい、り、…陸…」
「よく出来ました」
「…笑ってるでしょ…」
「いや、別に」
こちらを向かなくても笑ってる事がわかる。
陸の肩、さっきから揺れてるもん…
最近は、室井君の事を「陸」と呼べるとこまでいけた(かなりがんばった)。
いつの間にか陸のほうが立場が上になっている現状。
普通、年齢的にはあたしの方が上なんだけど…
年と言えば、今年の春からあたしと陸は高2と中3になった。
だから
「実帆先輩…あの、俺、今日から塾通う事にしたんで…」
「あー、いいよ?あたし一人でも帰れるから」
「すみません…」
「大丈夫だから、そんなしょげないでよ」
本当に悔しそうに喋る陸に、それだけで嬉しくなる。
陸は今年から受験生だから、一緒にいれる時間が少なくなってしまったんだ。
だから朝、学校まで行くほんの少しの時間だけがあたしと陸の唯一の時間。