ホンモノノキミ




「ねぇ」


「…何」


「何でそんなに暗いの?」


「暗くないわよ…」




下校のチャイムが鳴り響く下駄箱で、靴を履き替えている実帆に下から顔を覗いてくる智美を軽くあしらう。


そんな実帆をじぃっと見つめる智美。


何だか実帆の顔がだんだんイライラしている顔つきになる。


それは智美のせいではない。




「ねぇ」


「何…?」


「またあの子、門の前に立ってるよ」


「……はぁー…」


「っ♪じゃぁ、お邪魔は先に帰るね~」


「あっ、ちょっ…」




手をひらひらさせ、先に門を出てった智美。


門に立っているであろう誰かに笑いかけて。


ずーんと頭が項垂れる。


嫌々、門の近くまで行くと、子犬のように「待ってました」と言わんばかりの顔をしてこちらを向く男の子。



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