幸せをあつめて
眠れない夜に
眠れないから、ラジオをつけた。
砂嵐のザーザーという音がだんだんと人の声に変わっていく。
チューニングのランプがはっきりとついた。

耳元に聞こえる愉快なしゃべり声。
なんだかほっとする。

最近は毎日そうだ。布団に入ると、いろんなことを考えてしまって眠れなくなる。

ラジオは、目を閉じていても聞こえるから好きだ。
まるで、修学旅行の夜に眠れない人同士で話をしているような‥。
この感じが、すごくすごく好きなんだ。

そして、こうしているうちにいつの間にか寝てしまう。

ああ‥なんだか眠くなってきた。
今日はラジオをつけていないのに。

以前のように、ラジオがなくても眠れる身体に戻ってきたのかな。
それも、なんだか寂しいけれど。

ラジオがあってよかった。
こころからそう感じた。

「おやすみ」
私はラジオを優しくなでて、眠りについた。

(終わり)
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