幸せをあつめて
コトノハに想いをのせて
浮かんだ言葉をいくつもならべては消す。その繰り返し。
どうすればこの想いが伝わるのだろう。どうすれば‥。

「…駄目だ」
原稿をくしゃくしゃに丸めて捨てる。そして新しい用紙を引っ張り出す。

窓からは三日月が見える。三日月は淡い光を放っていた。
ああ月よ、お月様よ。この想いをどうか、あのお方に伝えてくれないか。
この夜空にのせて‥遠い街のあのお方へ届けてくれないか。

風が吹き、雲が月の光をさえぎる。
今なら、今なら伝えられるかもしれない。
言の葉に、想いをのせて――。

僕は綺麗な便箋にペンを走らせた。

(終わり)
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