偽りロマンチカ
いつまでもトイレにいるわけにもいかなく、取りあえずトイレを出て廊下をとろとろと歩く。
すると目の前を通り過ぎようとした空き教室から話し声が聞こえる。
別に空き教室から話し声がしたからって盗み聞きをする趣味なんてない。
でも自然とその空き教室のドアに足を進めていたのは
「航平」という名前とその声が先ほど聞いたばかりの絵里さんの声だったからだ。
ドアにぴったりと体と顔を引っ付け、耳を澄ます。
「航平っ…あたし航平に嘘ついてたっ…」
「……、嘘…?」
その航平の声にドクンと心臓が大きく揺れる。