偽りロマンチカ



「朱里ー。」


「ふぇ…?」


「何か色々あったけどさー、明日の事…忘れてないよね?」


「あ……」


「……忘れてたんだ」




抱き締められている幸せに浸っている最中、いきなり聞かれた質問に分からない反応をする朱里を、頭の上に乗せられた航平の顔は見なくても分かるぐらい不満そうなオーラを纏いながら呟く。




「酷い…俺はこんなにも楽しみにしてたのに…」


「ごっ…ごめんねっ、あの、忘れてた訳じゃないんだよ?」


「ふんっ…どうせ朱里にとっては忘れちゃうぐらいの事だったんだね」


「……」


「……」


「……」


「……あの…あか、り?」




急に黙り込んだ朱里に流石に言い過ぎたと思い、恐る恐る朱里の顔を覗き込むと



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