偽りロマンチカ



何だと思い航平の顔を不思議そうに見ていると、航平は垂れた前髪の隙間からチラッとあたしの方を見る。




「今週の土曜さ、…俺んち来ない?」


「へ……」




あたしがその意味を知るのに固まっていると航平はあたしの顔を真っ直ぐ見つめる。




「親も妹もいないから…」


「それって…」


「はいっ、この話は終了」




ぱんっと両手でお開きの合図をし、そのままスタスタと先を歩いていってしまった航平に、朱里は呆然状態。




それって


もしかして、もしかしなくても




「えっ…?!え゛ぇっ?!」




頭は既に爆発を起こして制御不能状態。



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