偽りロマンチカ




一ヶ月前。


まだあたしが片思いしてる頃。


彼女のいる航平に。


今にも降りそうなくらい真っ暗な雲で埋め尽くしている放課後の空。


まだその時は友達と帰っていた。


校庭を歩く恋人を窓から見ながら。


サッカー部で人気のエース・奥村 航平という名は情報網の少ない平凡なあたしの耳にも入るぐらい有名だった。


最初は興味本意でさりげなく放課後のグラウンドを通ってみたら


それは一瞬の出来事で


あたしは直ぐに彼だけしか目に入らなくなった。



< 6 / 41 >

この作品をシェア

pagetop