君が君を好きになって。
「野々内も装飾?」
由佳の隣に静かに座った人物に菜束は見覚えがあった。
「あれ、うん。綿貫装飾になったんだぁ?」
「はい、綿貫さん装飾。──…あれ、この前の…小玲だっけ?」
笑顔で誰とでも話すタイプなのか、同じクラスでも無い菜束にも同じ笑顔で気が付いた。
「小玲です」
「装飾なんだ?あ、しろは食品有志になったけど」
「──しろ?」
「あーえっとですね、芹沢君の下の名前は白羽って言って、その略。俺は碧と申します」
菜束が納得したように頷くと碧はまた笑った。
──よく笑う人。疲れないのかな…
クジの結果、菜束は碧と一緒の区域担当になった。
窓際の、何も無いところ。
由佳とは離れたがやりがいがあると菜束は綻んだ。
「この前、さぁ」
「はいっ?」
「綺麗って言ってたじゃん。あれ、良く出てきたよね。何か」
「え、…?思ったことを言っただけだよ?」