君が君を好きになって。
「うん。でも、心の中にドンピシャな言葉なのに俺には考えつかなかった。──センスがいいんだなと思って」
「…初めて」
「ん?」
菜束は純粋に嬉しかった。
自分の手を握り締める。
「初めて。そんな風に言われたの。初めてかも知れない」
菜束がそう言うと、
碧は嬉しそうに驚いた。
「俺も」
「?」
「君が笑ったトコ初めて見た」
菜束は自分でも自然に笑ったのは久しぶりだと思った。
嬉しかった。
そんな風に誉められたことは今まで無かったから。
「ありがとう」
何かが変わる。
そんな気がした。