君が君を好きになって。


「うん。でも、心の中にドンピシャな言葉なのに俺には考えつかなかった。──センスがいいんだなと思って」



「…初めて」

「ん?」

菜束は純粋に嬉しかった。
自分の手を握り締める。


「初めて。そんな風に言われたの。初めてかも知れない」


菜束がそう言うと、
碧は嬉しそうに驚いた。


「俺も」


「?」





「君が笑ったトコ初めて見た」





菜束は自分でも自然に笑ったのは久しぶりだと思った。
嬉しかった。
そんな風に誉められたことは今まで無かったから。






「ありがとう」





何かが変わる。

そんな気がした。







< 15 / 102 >

この作品をシェア

pagetop