君が君を好きになって。
全員が体育館で練習試合をしている時、
邪魔になるだろうと碧は
休憩がてらボールを持って体育館の外に出た。
少し離れて、ボールを狙った壁にぶつけてみる。
ドン、
「もーちょい、右」
ドン、
「休むとこんな衰えるもんなんだ…」
「そうなの?」
トン。
ボールが転がった。
「───…千幸?」
──綿貫?あぁ、ちぃの元カレだっけ、…
「私がヘコんでると思った?」
「──…別に」
ドン、
「少しくらい後悔した?」
、トン
「…そんなこと聞くの?」
碧は体育館への階段二番目に座り込んだ。
「…ほら、笑うじゃん?…部活も、気晴らしかと思って」
「気晴らし?そんなんじゃないけど…そう見える?」
「『彼女と別れました。何かしたいんです』って顧問にでも頼んだのかと思ったってこと」
「そんな気持ちでするもんじゃないって、千幸が言ってなかった?」
「…ねぇ、私たち別れたの?」
千幸は碧の目を見て言った。
「さぁ?俺はさ、千幸と付き合ったっていう感覚が、まず無かったよ」