君が君を好きになって。
「いい人…なんだね」
「そんな事…あおに比べたら」
「綿貫とはまた違う感じだなって、私は思いました」
白羽は視線を少し外してから、二回目の有難うを言った。
「バスケ部…」
「あ、知らなかった?珍しい」
「え?」
「有名だったよ、背番号四番綿貫碧」
菜束は知らなかったと頷いて体育館を覗いた。
「あ!小玲だ」
後ろから背中をトンと叩かれる。
ユニフォームの碧は、制服より絶対似合っていた。
「似合う…」
「そんなストレートに…綿貫さん照れます。ところでどしたの?お揃いで」
「部活待って三人で帰らない?て話になって。まだまだっぽい?」
白羽が体育館の様子を覗きながら言うと、碧は首を横に振った。
「全然。俺は多分疲れたって言えばゆーちゃん帰してくれる、はず!ちょっと待ってて」
碧が居なくなって、菜束が空を見上げた時、木の陰を見ていた白羽がポツと呟いた。
「───…千幸?」