君が君を好きになって。
『何で知ってるかって?』
「う、うん」
『野々内から聞いた。小玲今何処に居る?』
「え?…外?」
『中央図書館近い?』
「5分くらい…かな」
『ちょっと来て!別に来たくなかったらいいんだけ…』
「ううん、行く!」
嬉しい。
嬉しい。何が嬉しい?
綿貫に、…会えるということが?
違うような、違わないような。
「…変なの」
「あ、早いー!」
菜束を迎えたのは、一点の曇りもない、いつも通りの碧の笑顔だった。
「そうかな?」
「うん。ていうか何で手ブラで外に居んの小玲ー」
碧は笑いながら立ち上がった。
「──ちょっ、と…」
「“お姉ちゃんが”?」
「え…あ。さっきは焦っちゃって…非通知だったし」
「ううん、いきなり電話したの俺だもん。焦るよね、ゴメン」
「でも、…嬉しかった、よ?何か」
「!え」
碧から笑顔は消えて、ただの驚いた顔になった。
「?嬉しかったよ?暇だったから」
「──…暇、…だよね!」
「ところで、何か用だったんだよね?」
「あ、うん。ちょっと聞きたいことがあって。とりあえず図書館入ろ?」