君が君を好きになって。
「意外」
碧は笑って、それから碧は私情を語らなくなった。
参考にするデザインも決まり、大体のイメージは決定されて、二人は図書館を出ることにした。
荒川に掛る橋へ続く道を川沿いに歩いていたとき、碧が立ち止まった。
「あ。さっき小玲俺の話聞いてくれたから、今度は俺が小玲の話聞く番」
「そんな…聞いたかな」
碧がふと真剣な顔になる。
「──ひとりで悩むのは、きっと良くないよ」
夏実のことだ。
碧は夏実とのことを心配している。
「でも…巻き込んじゃ悪いから…」
「悪くない。…悪くない」
碧は本当に本気で、菜束は何だか嬉しくなった。
口を開く。
「──私のお姉ちゃん高校二年生なんだけど、彼氏さんとのことでお母さんと喧嘩して、家出しちゃったの」
「うん。続けて?」
碧は乾いた芝生に座り込んだ。
菜束も少し離れたところにしゃがみ込む。
「…それで、私お姉ちゃんとこの前会って、お姉ちゃんに言われたの。『彼氏と蒸発する』って。──…それ、で」
「…うん」
菜束は膝に顔を埋めた。