君が君を好きになって。
「お姉さんのこと、俺協力するから、何でも言って?」
「ほ…──本当に…?」
「ほんと。だってほっとけないもん。それに小玲がお姉さんのこと嫌いって知ってるの俺だけでしょ?」
「うん、それは絶対」
「ね、だったらひとりより、ふたりって思うからさ!」
菜束は有難くて有難くて、頷いた。
「ありがとう」
「いーえ!」
それから二人はたわいもないことをつらつらと並べていった。
「あ、あのマンションなんだ」
「へぇー…」
碧がマンションを見上げたとき、葉太の声がした。
「あ、姉ちゃん?おかえり」
「葉太」
「弟?」
「うん」
「まさか…彼氏?」
「!違う違う。学校が同じの人。失礼なこと言わないの。ほら挨拶は?」
「こ、こんにちは」
「こんにちは。めっちゃ可愛いじゃん弟ー!葉太って言うの?」
「うん、何て名前?」
「綿貫碧っていいます。今日お姉ちゃん借りちゃってごめんね?」
葉太は首を振った。
「別にいいよ。散歩に行ったの知ってたし」
「そっかぁ。じゃあ小玲姉弟、またな」
「うん。今日は本当にありがとう」
「いいって。じゃ火曜に学校で」