君が君を好きになって。
「綿貫綿貫───!」
「はい?」
「…何かお前調子悪そうだけど平気?」
「うん。大丈夫。何か用だった?」
「あー…彼女、でいいのか?来てる」
千幸が制服姿で立っていた。
「珍しい、制服」
「部活終わったからちょっと寄ったの」
昇降口前の階段に二人で座り込んでいた。
「そっか。今日暑いよな──…」
碧から話すことなど特に無く、世間話を口にした。
「私が暑いの平気なの知ってるでしょ」
「冬は元気無くなって?」
そういえばそうだったと微笑む。
「碧のマフラー借りた気がするなー…思い出だね」
碧が頷く。
「そういえばこの前ここ通った時、女の子と居たでしょ。普通そうな子」
「…小玲?6組の子なんだけど」
「そうなんだ…何か、仲良さそうだったから気になってね」
「─…ふぅん」
「───…悔しくて」
トン。
千幸が碧の肩を押す。
「え───…」
世界が反転する。
碧は男子ながらも千幸に押し倒される形となり焦った。
──この状況部活の奴らに見られたら…
「ここで…っ」
「え、千幸、あのさ」
「何か無理矢理起こったとしたらどうするの?」