君が君を好きになって。
絶望した。
何で気付かなかったんだろうと、自分が嫌いになった。
「馬鹿」
「えー?」
「馬鹿馬鹿馬鹿!そんなの好きじゃない!」
彼氏はあからさまに嫌な顔をした。
「だから。中学生の女の子には分かんないの。喜んでるんだよ?君のお姉ちゃんは変態だから」
「何も知らないくせにお姉ちゃんを悪く言わないで!確かに私はお姉ちゃんのことなんか大っ嫌い!だけどお姉ちゃんが居なくなったら…!」
「ぐちゃぐちゃ言ってないで退けよ!」
菜束は掴まれた腕を振り払うように回した。
分からない。
喧嘩なんてしたことないから、分からない。
分からない。
腕のほどき方も、
喧嘩を終わらせる方法も、
何もかも菜束には分からなくて。
「人の話を遮るな!」
でも、
空気が変わったのを、
菜束は感じた。