君が君を好きになって。




「楽しかったね」

「あんな自由に絵描くなんて無いからかな」

「また何かの機会にやりたいなぁ」

「俺も」





暫く二人で沈黙して、ふと口元を緩める。

「お疲れ」

「うん、お疲れ様」



碧がこちらに手のひらを向けた。
それに菜束は応えて手のひらを合わせる。

パシ。

「イエーイ」



菜束はもう、何というか、幸せで。

おかしくて、

声を出して笑った。


隣には碧。


そして教室の青に向かって叫ぶ。




「楽しいよ─────!」


精一杯の思いを。


「青春バンザ───イ!」


碧も菜束に合わせて叫んだ。



スッキリする。

お腹から出した声。




「皆大好き─────!」




「ありがと────!」




「あははは!どういたしまして──!」




「夕陽に向かって走りた────い!」



「判るよ─────!」






もう何だかおかしくて、

二人でしゃがみこんで

いつまででも笑っていたかった。




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