トラックで輝く君を
森ヶ丘水族館について、
チケットを買い、中に入った。

水族館に来たのは久しぶりだ。





「あ、ニモ!!」





そう言って、奥の小さな水槽が並んでいる場所へ、佐藤さんは子供のようにかけていった。





「おい、佐藤!」





それを、涼平が追う。

なにか心に鉛みたいなモノがズシンと落ちてきた感覚。





「蜜菜、めんどうそう。
私はゆっくりじっくり派なんだよね。吉田くん、あの子は鈴木くんに押しつけない?」





正直、佐藤さんとは離れるのは嫌だと思ったけど…ここは空気を読んだ。





「ああ。後で合流すればいい。
端からまわろう。」



「そうね。」





佐藤さんは、見たいものにまっしぐらみたいで、涼平が必死に追い掛けているのが時たま目に入った。



めんどうそうだったら、いつでも代わってやる、と、いたら必ず目をやったが、涼平も案外楽しそうで、また鉛が落ちてきた。




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