トラックで輝く君を
「やっぱり今日の先輩はいつもと違って見えます。
怪我でもしかねないですから、しっかりしてください!さっき涼ちゃんにも言ったんですけど……私は結果じゃないと思いますから。」





……?

陸上競技に限らず、スポーツは結果を求めるものじゃないのか?





「確かに、スポーツに結果はつきものだけど…それに縛られたプレーを見る人は何も感じられないと思います。
やっぱり、全力をかけて楽しそうなプレーは見る人を魅了するはずです。
結果は、それのあとについてくるものだから…私は高望みはしませんよ?
先輩の最高の走りを見せてくれるなら、それでいいんです。」





ふわ-っと心に染みた。

そうか。結果にただ囚われて走ってもダメなんだ。





きっと、田尾さんや石川さんたちはそのことを知っているのかも。

だから、結果もついてくるのかもしれない。





「蜜菜、サンキューな。」



「もういつもの先輩ですね。
じゃあ、そろそろ私は涼ちゃんと智美の100Mを計るので行きますね。」



「悪かったな、忙しいのに。」



「大丈夫ですから。
先輩の走り楽しみにしてます。」





蜜菜はそう言ってかけていった。



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