トラックで輝く君を
急に、太陽の暑さを感じた。



俺はどんだけ緊張していたんだ、と思わず自分に笑った。





見ている人に、俺が今、見せられる最高の走りを見せよう。

結果は、その後についてくる。





「お、いい顔してんじゃん。」





正樹に言われて、俺はなんだか顔がにやけるのを感じた。



まあ、こいつバカだから気が付かないと思うけどな。





「今から田尾さんだってよ。
その後すぐに涼平。」





そうか。

あいつらはもう、タータンを見つめているのか。





「俺、ジョグ行くわ。」



「…お供いたしましょ。」



「おお、サンキュー。」





正樹とジョグをしながら、だんだんと体温が上がるのを感じた。



競技場内から、時たま歓声が沸くと背中がゾクッとした。




「今の、女子100Mかね?」





正樹は歓声が沸くとそう言った。





「さあな。」





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