トラックで輝く君を
「ねぇ、涼ちゃん。
私…今日は大型水槽の前にずっと座っていたい気分なんだけど。」



「何?しんみりムード?」





涼ちゃんはニカっと笑ってそう言ってくれる。空気が重くならないようにしてくれてるんだよね。





「まあ、そんなとこ。」



「了解。俺も付き合うよ。」



「…ありがとう。」





大型水槽の前は、あんまり人がいなくて空いていた。

私は適当な場所に座った。

もちろん、涼ちゃんは私の隣に座ってくれた。



はぁ…ドッキドキだよ。





「こうしていると、嫌なこととか忘れられると思わない?」





そうだ。

あの時にも、よく来た。
ゆかりにも親にも黙って、この水族館に来ていた。





「確かにな-。
なんか、悩んでることとかがバカバカしく感じるな。」



「…前にもよく来た。
辛くて、誰にも言いたくない時には必ずここに来たんだ。」



「1人で?」



「そうだよ。
誰にも会いたくなくて、ここまで来てたからね。」





懐かしいなぁ。

でも、やっぱり思い出すと胸の奥がズキッと痛むんだ。





「また悲しい顔したね?」





…え?




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