トラックで輝く君を
私はそれ以上、何も聞きたくなくて走って逃げた。





「ハァ…ハァ…ハァ…。」





もう、どうしたらいいのか分からなくてただ走った。

どこか、遠い場所まで走ったら、治也に会える気がした。





「おい、蜜菜!」





どれだけ走ったのか分からない。



走り続ける私を止めてくれたのは航兄だった。





「…航兄。ねぇ、治也はどこ?」





航兄はギュッと私を抱き締めて、子どもをあやすように背中をさすってくれた。



航兄からは、治也と同じ洗剤の香りがして、涙が出た。





「治也が死んじゃったのは、…私のせいなんだって。」



「そんなことない。」



「でも、堀川さんが…。」



「そんなの、ただの子どもの八つ当たりだって。蜜菜は気にしなくていい。」



「でも…、私が欲しいって言わなきゃ…治也は…。」



「蜜菜。…お前は悪くない。」





航兄は、ずっと私を抱き締めてくれて、私はずっと泣いてた。





私はその場で泣き疲れて寝ちゃって、航兄が家までおぶってくれた。





< 264 / 313 >

この作品をシェア

pagetop