トラックで輝く君を
結局のところ
私たちの応援も虚しく、3年の先輩たちは誰も県大会に出られる記録は出せなかった。



ただ、飯村部長はあと0.3秒のところで県大会を逃したので、悔しさのあまりしばらく泣いていた。

飯村部長の本気が伝わって、
私もなんだか泣きそうになってしまった。





みずき先輩は、色々な先輩に話し掛けながら泣いていた。きっと悔しいんだ。

だって、ずっと支えてきた先輩たちなんだから。

みずき先輩なら、私の力不足なんて考えているかも分からないと思った。





大会が終わってミーティングのときに、健人先輩が400メートルハードルで県大会に出ることを私は初めて知った。

健人先輩はなんだか煮え切らないような、微妙な顔をしていた。



先輩の引退試合に、後輩だけが勝つなんて…個人競技だからありなのに、後味の悪い結果だ。





先生は、今度の水曜日に代替のミーティングをすると言った。

そこで、3年は本当に引退するんだそうだ。急に、先輩たちの引退が現実味を帯びた気がした。





解散しても、しばらくはみんなそこにいた。1年生だけが、はやく帰りたそうにしているようにも見えた。


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