トラックで輝く君を
「ね、そういえば今日はのんいないね。」



「あんまり加藤さんって練習来ないよな?涼平、お前見るか?」



「俺、顔もあやふや。」



「え、それヤバいって。」



「仕方ないよ。のんは身体が弱いみたいだから。さ、健人先輩が流しに行きたそうだよ。行ってきな!」



「「はーい。」」





みんな、それぞれ流しに散っていった。急に静かになった気がする。

見て、待つだけって…



少しだけ、少しだけ、



淋しいかな、とか一瞬思う。



でも、みんなが風を切って走っているのを見ていると、そんな気持ちもなくなる。

走っているのを見るの、好き。





「蜜菜ちゃん達は仲良いね。」



みずき先輩は、ストップウォッチを手渡しながら、そう言ってくれた。





「ありがとうございます。」


「ちょっとだけ羨ましいな。」





みずき先輩はそう言って、少しだけ困ったみたいに笑った。





どうして?

先輩たちだって、十分仲が良い学年に見えるのに。



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