トラックで輝く君を

市立東高文化祭 side Mitsuna

大会が終わっちゃって、
だんだんと競技場が静かになっていく中、私たちもテントを片付けてその場を惜しむように去った。



この2日間はあっという間に終わってしまった。
まだまだ大会が続くような、そんな気持ち。



ミーティングをやって
解散になったから、私は健人先輩と後藤先輩と一緒に地元のゆめまち駅まで帰った。

健人先輩は行きはカリカリしてたけど、もういつもの先輩に戻っていた。
…よかった。





「蜜菜、初ではないけど…
初の大会はどうだった?陸上競技って地味に聞こえるけど、全然違ったろ?」



今日、調子がよくて誰よりも機嫌のいい後藤先輩はキラキラした顔で私に言った。

顔が健人先輩みたいに人よりいいわけではないけど…
なんだかカッコよく見える。





「楽しかったです。
まだまだ大会が続いてほしいと思っちゃうくらいに。」



「俺もそうなんだよね!
体力はそんな残ってないけど、もっともっと走りたくなる。」



「それ、全力で走ってないからそうなんじゃねーの?」




そう言ったのは健人先輩。
先輩、愛がないよ。愛が。



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