【短】Through バレンタイン
「じゃ、私も入れてくるから!」
神楽のクラスの教室にたどり着くと、春菜はもう一つ向こうの教室に歩いていった。
今回は、春菜も好きな人にチョコをあげるようだ。
こっそり教室に入る。
好都合なことに、今日は体育館で自由参加のドッジボール大会があり、
皆はそっちにいってしまっているようで、
教室の電気は消され、がらんとしていた。
神楽の席まで少しゆっくり歩く。
正直、まだ迷っていた。
本当に後悔しない?
これでいいの?
手紙を入れたって、神楽が待ち合わせの場所に来てくれる保証は、どこにもない。
怖い。
怖くて仕方がない。
けれど、神楽にチョコを渡したい一心で、
私は、神楽の机に手紙を入れた。