モナミ~現実との戦い~



父もきれいごとばかり並べるわりには

勉強しろ、と毎日言ってきた。

あたしの部屋の前を通る度に開けられるドア。

ベッドに寝転ぶあたしを見て父の顔つきが変わるあの瞬間が

恐ろしかった。

神経質なあたしはいつしか父の階段をのぼる音だけで体が震え出すようになった。


ドカドカと乱暴に階段を踏み付けながらあがってくるその足音は

必ずあたしの部屋の前で止まるから……。


中学に上がって最初のうちはひたすら言葉責めだった。

だけど始めての中間テストの一ヶ月程前から父はいつも機嫌が悪くて。

ある日勉強せずに漫画を読んでいたあたしを見て

カッと父の顔が真っ赤になっていくのが傍目からでも分かった。

父はあたしにドカドカと近づき、漫画をひったくってベランダから投げ捨てた。

『何すんの!』そう言う前に髪の毛を捕まれ無理矢理立たされた。


「なんでテスト前なのに勉強しないんだ!!何で分からないんだお前はぁ!!!」


「やめてっっ!!痛い離して!お父さん!!」



いくら痛い、やめてほしいと頼んでもだめだった。

そのまま階段を引きずるように落とされ、太ももには青紫の痣がいくつか浮かび上がった。

そのままあたしはほぼ下着姿で玄関の外に出され、ずっと中に入れてもらえ無かった。

夜中になると薄いタオルケットだけ投げ付けられ、やっぱり中には入れてもらえ無くて。

あたしはタオルケットにくるまり、一晩中泣いて夜を明かした。



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