モナミ~現実との戦い~
バッグに一泊分の荷物をまとめた。
別に期待してるわけじゃない。
本当にその“モナミ”が逃げ場になるかなんて分からない。
だけど、全ちゃんだから。
他の誰でもなく、あたしの大好きな全ちゃんの言葉だから。
少しだけ、信じてみたいんだ。
あたしは荷物を持つと、携帯をポケットにしまい、見つからないようにこっそりと家を出た。
玄関のドアを閉めた瞬間、ガチャンと大きな音がした。
やばい、と一瞬思ったけど
誰もその音に気づく人はいなかった。
…いや、もしかしたら気づいてて、気づかないふりをしついたのかもしれない―――…
あの音は2階のあたしの部屋まで響くんだ。
一階のリビングに響かないわけないんだから…。