【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
ばあちゃんはもう二度と目を覚まさない。



なのに私は泣けなかった。



こんなにも悲しいのに…。



静まり返った病室の外から、騒がしい音が聞こえた。



ドアが勢い良く開く。



「ゆーし…せんぱい?」



「俺、間に合えへんかったんか。」



そこには汗だくになって悲しそうに顔を歪めた勇将先輩が立っていた。



後ろには凜と陸人先輩もいる。



きっと走って来てくれたのだろう。



「俺、ばあちゃんとの約束、守ったで?…団体は優勝でけへんかったけど、ダブルスで全国一番になったで…?」



勇将先輩はとても優しい声で瞼を閉じたばあちゃんに話しかけた。
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