【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
父さんはその姿を見て堪えていた涙を静かに流しはじめた。



母さんはその場に座り込んで、ありがとう、ありがとうと大泣きし出した。



凜や陸人先輩も泣いていた。



なのに、私だけは…



どうしても泣けなかった。



勇将先輩はどこか穏やかな表情でばあちゃんの手を握っていた。



「なぁ、返事してや?ばあちゃん…。」



勇将先輩の言葉は私や家族を悲しみへ誘う。



あの低く甘い声が優しく震えていた。













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