【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-













ばあちゃんが逝ってしまってから三日。



ばあちゃんは形がなくなって小さな壷の中へ入れられた。



勇将先輩は忙しいのに、葬式にも出席してくれた。



他のテニス部レギュラーもお通夜には来てくれて、芹澤さんなんか、学校イチの綺麗な顔をぐちゃぐちゃにして泣いてくれた。



まるで子猿みたいな泣き顔に、私は不思議と気持ちが和らいだ。



「芹澤さん、そんな顔もできるんすね。」



「るさい!…悲しいときは泣くのが人間だ。」



そう言って泣きながらバシバシ私の頭を叩く芹澤さん。



その時、芹澤さんの優しさが身に染みた。
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