【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
葬儀が終わった日の夜。



私は勇将先輩のバイクであの場所に来ていた。



「今日はあんまり星見えへんなぁ。」



勇将先輩が静かに言った。



呟く勇将先輩の瞳は、どこか淋しげだった。



今日は曇り空で月の光しか見えなかった。



まるで…。



「今の私の心みたいっす。」



「きら…?」



暗い夜空と優しい勇将先輩のせいで本音が漏れる。



「心はくらーい闇みたいなのに、涙がでないんすよ…。」



勇将先輩が私の肩を抱いた。



「お前は、無理しすぎやねん。」



頭を勇将先輩の長く細い指がそっと撫でた。
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