【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
「気良…お前は強がりすぎやねん。気持ちを出さなすぎやねん。」



勇将先輩の指から先輩自身の震えが伝わった。



「せんぱい。」



勇将先輩は泣いてくれていた。



「きら…、夜でも闇ちゃうんやで。」



「え…?」



震えた低く甘い声が、私の耳を支配する。



「夜は、必ず月が照らしてくれるんや。」



「つき、が…?」



私が尋ねると、勇将先輩は一拍置いてまた囁いた。



「せや。…せやから、お前の闇は、俺が照らしてやれへんかな?」



「…キザっすね。」



「うるさいわ。」



先輩の少し恥ずかしそうな顔に、私は思わず頬が緩んだ。
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