【完全版】HIDE&SEEK-心と心のかくれんぼ-
勇将先輩は真剣な顔で私を見つめる。



「ごめんな。いきなり、こんな話してもうて。」



そう言った勇将先輩の目が切ない色で私は息がつまる。



「こない話聞いたら、俺のこと汚い思うよな?理由はどうであれ、俺は女の子に酷いことしとるんやし。」



私は震える勇将先輩をそっと抱きしめる。



「嫌いになんか、なれません。」



私は勇将先輩の頭を優しく包む。



先輩の柔らかい蒼色の髪の毛が甘い香りを漂わす。



「過去なんか知らない。今の先輩が私は好き。」



「きっ…ら!」



勇将先輩は私に包まれて、嗚咽を漏らし始めた。



勇将先輩はきっと過去を抱え、自分のしたことを許せずにいたのだろう。



弱みも見せずに、ずっと…。
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