“涙空”㊦
和紀の目には涙が溜まっていた。

目をつぶるともう涙が溢れるぐらい。

『当たり前…和紀を幸せにできるのは私だけ!』
私は笑顔で言い帰り道を車で走った。

でも今までは大丈夫だったけどその病気はどんどん進んでいったんだ。

いつも通りに和紀と学校に向かって教室に行こうとした。

「なぁ…教室どこ?」

『えっ…どこ…って…』
私はビックリした。

こんな事までもう忘れたなんて…。

私は黙って和紀の手を引いて教室まで歩いた。

「ゴメンな…美佐…」

和紀は私を見て謝っている。

『しょうがないよ!』

私は和紀の手に力をいれて握った。

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