“涙空”㊦
私は和紀の家に着くまで私と和紀は一言もしゃべらなかった。

『和紀の家はここだよ!』

「ありがとう…じゃあ!本当は送ってやりたいけど…」

『いいよ!大丈夫だから!』

「ぁぁ…ゴメンな…情けなくて…」

『自分を責めないで!さっ!早く家入って!大丈夫だから!バイバイ!』
私は和紀に手を振って後ろを振り返って家までの道のりを歩いた。




『ただいま…』

私は玄関のドアを開けリビングに入る。

『ただいま…って…お母さん!どしたの?』

お母さんの顔を見ると目が真っ赤だった。

『お父さんが…肺癌だって…』

お母さんの言っている事がわからなかった。

『何言ってんの?』

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